Aさん宅へお月まいりにおじゃまする。
いつもAさんのお姉さまが和尚を待っていてくださった。
早く両親を亡くした彼女は 運悪く終戦直後の混乱期に青春時代を迎えた。
その時代 大抵の人がそうであったように 生き抜くことだけの毎日だった。
遠い親戚の紹介でやっとありつけた仕事は 深夜の電話交換手だったが
とてもえり好みを云っていられる状況でなかった。
むしろこの仕事が無くなったらと 必死で仕事に打ち込んだ。
やがて時代も落ち着き ふっと自分自身を見つめる余裕が出来た時
もう婚期はすでに過ぎ去っていた。
そんなAさんからの話だ、
和尚さん 私が亡くなった時は お墓はどうするだね?
行かず後家のばあさんの墓があるから ついでにじゃあ やだがね
いつか ほったらかしの 無縁さんだがね
葬式も 後の供養も 和尚さんに頼んどくで
お墓も和尚さん頼むだがね
葬式も後の永代供養もちゃんとやる。
だけど 常々お墓は骨捨て場じゃないと
檀家さんにお墓参りを強要している和尚にとって
墓までとなるとちょっと不安になる。
それでなくともお参りする人が無く 荒れはてた墓が目について困っているのだ。
一瞬返事に困っていると
「永代供養の墓はないだかね?
わしみたい 一生独身の女が気兼ねなくはいる墓だがね」
実を言うと 和尚も考えなかった訳でない。
以前 全く身寄りの無い女性の葬儀を勤めた時 やはり同じような依頼があった。
場所はある。きちっとお世話をする自信もある。
 いつも花の絶える事の無い 明るくて 優しいお墓がいい。
誰か一人がお参りされたときでも そこに眠る仏さん全員に
お線香の香りと お花の香りが 届けられるようなそんなお墓だ。
たくさんのお地蔵さんに守られているお墓だ。
何度か石屋さん相談するが 和尚の希望を全てかなえるには予算が合わない。
一生懸命頑張ってこられた皆さんの終の棲家としては
あんまりにも デザインが寂しい。等々で先延ばしになった。
今も当時と状況はなにも変わっていない。
でも何とかしたい。思いだけが募った。
「私一人じゃあないような気もするし」
Aさんのこの一言にあっけなく和尚は土俵から押し出された。
「Aさんが亡くなるまでには造るわ」
まだ先のことだろうし そん時までにはなんとかなるだろう。
甘かった。 ほどなくしてAさんが亡くなられてしまったのだ。
石屋さんに 無理に無理をお願いし
ほどなく 希望どおりの 永代供養墓ができた。
今のところ Aさん専用となっている。
お線香をあげるたび Aさんがほくそえんでるような気がする。 永代供養墓に付いての詳細はお気軽にお問い合わせください
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